【Interview】阿佐ヶ谷・高円寺プロジェクト
人と人との縁が高架下でつながり、新たな日常になる
高架下芸術祭の裏側 前編イメージ高架下芸術祭の裏側 前編イメージ
高架下芸術祭とは、阿佐ヶ谷・高円寺プロジェクトの第4弾として開催されたイベント。当社と東京の高円寺にある銭湯、小杉湯のコラボレーションにより実現した芸術祭です。2019年9月から約2か月間、JR中央線・総武線 高円寺・阿佐ケ谷駅間の空き倉庫を中心とした高架下を活用し、さまざまアートイベントを行いました。今回は高架下芸術祭のキーパーソンである小杉湯三代目の 平松 ひらまつ 佑介 ゆうすけ さんと番頭(当時)兼マリンバ奏者の 野木 のぎ 青依 あおい さん、プロジェクトメンバーの おか 志津 しづ さんと 北田 きただ 和美 かずみ さんに開催までの経緯を伺います。
高架下芸術祭の裏側 前編イメージ1高架下芸術祭の裏側 前編イメージ1
新しい挑戦を続ける
老舗銭湯「小杉湯」
平松:小杉湯は今年で創業88年になります。僕は後継ぎとして生まれましたが一般企業の経験を積んだ後2016年、36歳の時に小杉湯で働き始めました。「銭湯は斜陽産業」という危機感もあり、銭湯の営業時間外で、音楽やアートのイベント、落語などさまざまなコラボを行っていたちょうどその頃、銭湯・サウナブームが訪れたんです。それが僕が小杉湯を継いだ最初の1年でした。
また、2017年には、取り壊しが決まっていたアパートを活用して「銭湯ぐらし」というプロジェクトをやりました。
:小杉湯の隣の風呂なしアパートで、クリエイターが暮らしながら銭湯と掛け合わせた活動をする、というプロジェクトでしたね。小杉湯さんがまた面白いこと始めた!と気になっていました。
ブームで終わらせず
ムーブメントにする
平松:翌2018年の2月に「銭湯ぐらし」で使っていたアパートが予定通り解体され、「次はどうする?」という流れになったんです。
銭湯ブームにのって、さまざまなイベントを行っているとはいえ、ブームは一過性のものです。ここからブームをムーブメントにしていって、最終的に新しいカルチャーというものを作っていかなければならないなと。ムーブメントというのは価値を再定義するものだと考えています。
まずは、ムーブメントを作ろうと始めたのが「銭湯再興プロジェクト」というオンラインサロンです。小杉湯には来られないけど、一緒に何かをやりたいと思っている人たちと、繋がって何かできないかと立ち上げました。
高架下芸術祭の裏側 前編イメージ2高架下芸術祭の裏側 前編イメージ2
高架下芸術祭の裏側 前編イメージ3高架下芸術祭の裏側 前編イメージ3
これから
文化を作っていこう
平松:その一つの成果が、当時番頭兼イラストレーターだった 塩谷 えんや 歩波 ほなみ さんが「銭湯図解」を出版し、話題になったことです。これは銭湯の価値を再定義するようなムーブメントが起こったなと。今度はこのムーブメントを新しいカルチャーにするのが次の動きだと考えたんです。
これから文化を作っていこう、高円寺のまちと繋がっていこう、小杉湯にはそういう思いの人たちが集まってきてくれて。小杉湯という場所だけではそういう想いを形にする場所がないから、まちに展開していけるといい。
塩谷さんが次に描きたいのが高円寺のまちだったし、「小杉湯となり」というプロジェクトを進めていた頃で、高円寺のまちで何かできないかと考えました。
高架下で
全てが繋がる
平松:そこで、岡さんに連絡したら「高架下で様々な取り組みを始めた」と仰るじゃないですか。
:お互いにいいタイミングでしたね(笑)最初の打合せで塩谷さんが「高円寺のまちを描くなら高架下」と仰ってくれて。高架下がまちの文化の一端になっていることを感じました。
平松:実は岡さんとは、2013年からの知り合いなんです。
:当時ビーンズ阿佐ヶ谷で作っていたフリーペーパーで、まちの先輩である小杉湯さんに「まちになくてはならない施設になるには?」と、取材に伺っていたんです。まだ平松さんのお父さんである二代目がメインで小杉湯をされていたころですよね。その出会いがあったからこその芸術祭。この高架下ですべてが繋がりましたね。
高架下芸術祭の裏側 前編イメージ4高架下芸術祭の裏側 前編イメージ4
高架下芸術祭の裏側 前編イメージ5高架下芸術祭の裏側 前編イメージ5
創作の過程もみられる
芸術祭にしたかった
平松:高架下芸術祭は1日だけの単発的なイベントではなく、創作の過程も見てもらえたのがよかったですね。点と点が線となり、アートが日常になりました。
野木:小杉湯の常連のおばあちゃんが聞きにきてくれたんですよ。貸しロッカーの鍵をやりとりしていたおばあちゃんが、「演奏会やるの?」と気にしてくれて。「聴きに来てください」って言ったら本当に来てくださったんです。
平松:特にオープニングのマリンバのライブが象徴的で、スタート時点はそんなに人がいなくて演奏が終わった時に席に人が埋まっていて、立ち見の人がいた。会場が高架下という、生活動線の中にあったからこそ、アートに触れ合うきっかけを作れたと思います。

後編は「アートが生まれる高架下には、人々の情熱が集う」を掲載します。

取材編集/くらしづくり・まちづくり室
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株式会社小杉湯 三代目
平松 ひらまつ 佑介 ゆうすけ
昭和8年創業という歴史を持つ老舗銭湯の三代目。小杉湯を1日に1000名を超える人が訪れる銭湯へ成長させ、空き家アパートを活用した「銭湯ぐらし」オンラインサロン「銭湯再興プロジェクト」などのコミュニティを構築。2020年3月に小杉湯となりに複合施設をオープンさせる。
高架下芸術祭では総合責任者として、番頭兼アーティストたちのお兄さん的存在を担った。
昭和8年創業という歴史を持つ老舗銭湯の三代目。小杉湯を1日に1000名を超える人が訪れる銭湯へ成長させ、空き家アパートを活用した「銭湯ぐらし」オンラインサロン「銭湯再興プロジェクト」などのコミュニティを構築。2020年3月に小杉湯となりに複合施設をオープンさせる。
高架下芸術祭では総合責任者として、番頭兼アーティストたちのお兄さん的存在を担った。
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株式会社ジェイアール東日本都市開発 経営企画部 くらしづくり・まちづくり室
おか 志津 しづ
2009年入社。ショッピングセンター事業本部を経て、現在はまちづくりのソフト部分の推進を行っている。ビーンズ阿佐ヶ谷での勤務経験から、「阿佐ヶ谷エンジンズ」の立ち上げにも携わり、阿佐ヶ谷・高円寺プロジェクトの立ち上げメンバーでもある。このエリアの雰囲気に惹かれてちょっと近くに引っ越してきました。

※野木青依さん、北田和美さんは後編で紹介いたします
2009年入社。ショッピングセンター事業本部を経て、現在はまちづくりのソフト部分の推進を行っている。ビーンズ阿佐ヶ谷での勤務経験から、「阿佐ヶ谷エンジンズ」の立ち上げにも携わり、阿佐ヶ谷・高円寺プロジェクトの立ち上げメンバーでもある。このエリアの雰囲気に惹かれてちょっと近くに引っ越してきました。

※野木青依さん、北田和美さんは後編で紹介いたします