STORIES:OKUROJI

【Photographer's OKUROJI】#5
都会の真ん中でお酒のタイムトラベルを

【Photographer's OKUROJI】#5<br/>都会の真ん中でお酒のタイムトラベルを<br>
ストーリー

2020.12.22

この記事をシェア

写真家の在本彌生さんがOKUROJIを訪れ、撮影。彼女のフィルターを通して見た、OKUROJIの姿を写真とエッセイで綴ります。今回は『MIXOLOGY HERITAGE』にフォーカス。

Photo & Text: Yayoi Arimoto

都会の真ん中でお酒のタイムトラベルを

お酒とはあらゆるスタイルで嗜まれるもの。家で飲むか、外で飲むかでも心持ちが変わってくる。誰かと一緒なら会話をもたらすきっかけにもなるだろうし、ひとりなら気ままに、時には考え事のお供にもなるだろう。お酒と共にする時間が魅力的なエピソードが生まれるひとときになったら素晴らしいと日頃から思っている。素敵な魔力を持つ飲み物だから、肩肘張らずに、でも敬意を持ちつつ味わって、感謝しながらいただくことにしたい。私にとってのお酒は、思考や感覚を膨らませる魔法の雫だ。(様々の失敗と経験を経てこのアイディアに至っている)
 
「MIXOLOGY HERITAGE」ではクラシックカクテル、スタンダードなカクテルを主流に提供しているが、そう単純な話ではない。ここでは他にない特別な体験が待っている。このバーでは、お酒を味わうことでタイムトリップが実現するというのだ。チーフバーテンダーは名人の伊藤学さん、タイムマシンのパイロットさながら、お酒の「絶頂期」に導いてくれるのだ。

これまでにもお酒の世界で名作を提供し続けてきた伊藤さんが「MIXOLOGY HERITAGE」で私たちに披露してくださるのは、甘美な味わいへのタイムトリップ。熟成と味わいのピークのお酒を独自の方法で新旧の酒をブレンドし「培養」しているのだ。そのお酒をベースにしたカクテルを頂くこともできる。もちろん培養を成功させるのは容易なことではなく、深い経験と技術を要するのだが、「沁みるうまさ」を貪欲に求め、見事に培養を実現できていることに大きな驚きと感激がある。

店内に並ぶ美しいガラス瓶の中には培養過程の琥珀色の香り高い液体がずらりと並んでいる。このお店は伊藤さんのラボとしての一面も持っていると言っても良いだろう。そしてここは「素晴らしかったあの時のあの味」と私たちの出合いの(ある人にとっては再会の)場でもある。ひとくちずつ、豊潤な香りとともにまろやかに広がる酔いに浸り、味わうごとに、何かとてつもなく面白いことが思いつきそうな良い気分になっていった。店内のインテリアもクラッシックバーのしっとりとして贅沢なムード、心地よい酔いに導いてくれる。

Profile

在本彌生(ありもと・やよい)
東京生まれ。外資系航空会社で乗務員として勤務、乗客の勧めで写真と出会う。以降、時間と場所を問わず驚きと発見のビジョンを表現出来る写真の世界に夢中になる。美しく奇妙、クールで暖かい魅力的な被写体を求め、世界を飛び回り続けている。2006年5月よりフリーランスフォトグラファーとして活動を開始。雑誌多数、カタログ、CDジャケット、TVCM、広告、展覧会にて活動中。
http://yayoiarimoto.jp/photo/fashion/

この記事をシェア

関連記事

Page top